「農業少女」観てきた。いつも書くけど全然演劇の基礎知識がないので何にも期待してなかったです。当然、評判が良いタイ人と野田秀樹による「赤鬼」もみていない。観ようと思ったのは「せっかくだから」。だってせっかく今のバンコクを生きてるタイ人が来日してやってるのに、すごく良かったら観なかったの後悔するじゃない!
と思っていったら案の定観なかったら後悔していただろうという良い舞台だった。
演出は開演前の待ち時間、お茶を配るところから始まってたわけなんだけど、全然フラグに気付かなかった。後で聞いたらこの演出も元々の脚本にあるのね。そうなのか、なんだかこのタイ人公演用に書いた脚本じゃないの?というぐらいタイ人のニコーン・セータンの翻案・ディレクションがよかった。東北地方の田舎に生まれて、農民が嫌でバンコクへ。電車、デックネーオ、デックウェン、デックサコーイにカトゥーイにサッカーに政治にパーティー、ハイソなレストランにくだらないミーティングにってすごい今のバンコクありそうな話じゃないかな?「タイだからおかま」とかじゃなくて、普通にそこにある(いる)からおかまっていうなんか正直な表現。「モシモシーハイ」なんて日本語が挿入されてるのは別に日本人へのサービスではなくて、バンコクで演劇やってるような人たちだったら日本人の友達一人二人ぐらいいて、やつらが話す「モシモシー」とかを楽しく聞いてるんだよね。「働き蟻がたくさんいたとしてもそのうちの何匹かは怠け者になる」って台詞がすごく心に残ってるのは、なんでだろう。タイ人がふつーに考えてること聞けた気がしたからか。皆さん、演技も楽しくて、でもうわーがんばってるなーっていう感じもなく、僕の知ってるタイ人の気質みたいなものに正直な感じに近い感じで楽しくやってる。
テーマは地方と都市の格差とか持ってる者と持ってない者とのギャップとか、そういうものだと理解しているけど、なんだか役者たちとニコーンさんを通じて、今のバンコク生きてる人の考えやフィーリングに触れることができたような気がするから楽しかったのかもしれない。意外に時事的だったってことか。タイ人編集才能説っていうか、タイ人の客観的な側面が上手に出た楽しい舞台でした。
言葉は当然タイ語、日本語はイヤホンの実況でわかるという感じでした。ぼくはたぶんこのレベルを同時に追って行くのは理解度7ー8割ぐらいだから、できるところはタイ語で、どうしてもわからなくなったらイヤホン耳にいれて聞いてた。どうしてもドメスティックなネタは実況では拾え切れないし、文章構成上、笑うタイミングがずれてしまうからねえ。やっぱりタイ語の方が全然面白かったです。ていうかタイ語やっぱりかわいいわ。セクシーシーンとかタイ語の方がぐっとくるんではないかと思ったよ。主役の女の子かわいかったなあ。
余談だが、チュラロンコーンの演劇の先生のずらずら長いスペシャルサンクスにsoi projectとあった。Witが何か手伝ってんのかなー。あと、野田秀樹とタイ人が来年夏に共同プロジェクトをやるらしいのでそれは絶対行こうと思いました。
原 作 |
野田秀樹
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翻案・演出 |
ニコン・セタン
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出 演 |
バンコク・シアター・ネットワーク所属俳優 |
公演日程 |
2009年11月20日(金)〜23日(月・祝)
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会 場 |
東京芸術劇場 小ホール1 |
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