タイまで持ってってちょこちょこ読んだ2冊。どちらもひじょーーーに面白い万人におすすめできる素晴らしい本でした。出会えたことがうれしいぐらいだ。
『オリガ・モリゾヴナの反語法』
米原万里の本は大学時代にエッセイを読んだり、大学の先輩だったりとなじみはありました。一昨年ぐらいにロンブカトーの語学気違い本の翻訳よんで訳者だったのになんでか米原万里も好きになって、「嘘つきアーシャ」につづいてこれを読んでみた。
あらすじを軽く説明すると、「チェコのソビエト人学校で数年を過ごした日本人が、それから20年後ぐらいに恩師の人生の軌跡を辿っていく」って感じ なのだが、まあそんぐらいの情報しか書けない。序盤のストーリーからは中盤以降のこんな豊かで深くて心が痛く人の優しさや強さがもりだくさんの壮絶なストーリーが潜んでいるんだなんて思えなかったからだ。浅くて薄くて適当で冷たくて打たれ弱いと評判のぼくがこんなこと書くぐらいなんだから相当のもんですよ!
亀山先生の後書きから読んだが、本編読了後に再読すると「なにをたいそうな後書きを」と感じていたことがほぼ全てすごく腑に落ちた。亀山先生風ロマンチックにすぎると思っていた文章だったが、そんなふうに語ってみたくなるじゃあないか!
主人公の一人「踊り子」という言葉がイメージするのとはほど遠い踊り子のオリガばーちゃんの人生への眼差しに、しかしある意味心が折れそう。おれの人生の眼差しの弱さったらないわ。しかし小生の人生にも、人並みにこれから辛いことが起きるはずなので、そのときはとりあえずオリガばーちゃん思い出して、オリガばーちゃんの10分の1ぐらいは根性出して乗り切っていく所存。
決して説教臭い本、小難しい本ではなくてあくまでエンターテインメントなのが米原万里ってかっこいいなーと思う。天才。外大通っててよかった。ロシア語先攻すげーなおい。タイ語専攻はこーいう文化大将みたいな人すくない。
死刑執行人サンソン—国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
サンソンはルイ16世時代にパリで死刑執行人を勤めていた男。その職業観、実践、苦悩、時代、恋愛などさまざまな要素がぎゅっと詰め込まれて大切なことが書かれている本。大切なこととは「だが、断る」とか「覚悟があるのか(ごめんこれうろおぼえ)」とかつまり荒木ニズムのことだ。
サンソンは荒木先生のジョジョ7部スティールボールラン主人公、ジャイロのモデル。当然鉄の意思の元ネタっていう感じで手に取りましたが、フランス革命に初めて興味もったぐらい歴史がよくわかった本と思ったら、全編を通したテーマは人間讃歌だったという読後感でした。とりあえずベルサイユのばら読んで出直してきます。著者の鉄の意思感じる良い本。
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